アニマルセラピー後に人も犬も幸せホルモン増加

 犬は、人間が飼育した最初の動物。数万年前の旧石器時代から、家族のような関係にありました。一緒にいると互いに良いことがある―。それが経験的に分かっていたからこそ、多くの人がペット(伴侶動物)として犬を愛してきたのです。
 近年、犬などの動物がくれる「良いこと」が多くの科学的研究によって解明されつつあります。今回ご紹介するのは、アニマルセラピーで人と犬が触れあうことにより、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの増加が人、犬とも約8割で認められたという研究成果です。
 東京農業大学農学部動物介在療法学の太田光明教授らとユニ・チャーム(株)が共同で行い、2019年4月にニューヨークで開かれた「人と動物の関係に関する国際組織(IAHAIO)」会議で発表しました。
 オキシトシンは出産、授乳、スキンシップなどの際に脳下垂体から分泌されるホルモン。親子の愛情を強める、ストレスや不安を軽減する、人間関係や社会的活動を円滑にするなどの働きがあります。
 研究では、高齢者施設の高齢者累計37名に、セラピー犬累計35頭によるアニマルセラピーを行い、その前後で高齢者とセラピー犬の唾液中のオキシトシン量を測定しました。その結果、高齢者の84%、セラピー犬の77%でセラピー後にオキシトシン量の増加が認められました。さらに、高齢者の自律神経バランスを調べると、セラピー後に副交感神経活動が活発化、つまりリラックスできていることが分かりました。
 アニマルセラピーは、人も犬も幸せにするのですね。